47 柳田国男改装本と遠野物語抄(内容抜粋)

size:197mm×137mm×15mm 136ページ

<作品の説明>
改装本表紙は、ダメージ加工された山羊革とエンボス布で昔の農村の土間や森をイメージ。
裏見返し和紙には、岩手県東山手すき和紙のクルミで染めたものを使用、淡い茶色が落ち着いた感じに仕上がりました。
遠野物語抄は、表紙を板締め染め和紙にワックスを染み込ませた和紙を使用、白い和紙部分がワックスで透明になっているため台紙に文字を張り、その上から板締め染め和紙貼ったので文字が幽玄の趣になりました。
本文使用の和紙は自分で紙を漉いて穴を開け、村の中を垣間見ているイメージで作成、薄茶色に染まっている和紙は、コーヒーで斑染めして、昔の農村の障子を表現してみました。
他本文には岩手県東山手すき和紙の藍染と藁すきこみ和紙も使用。
全体に農村の土着感が感じられる作品になったと思っています。

<エピソード、制作時の事等>
制作前に柳田本を数冊読み何を中心に持って来て作りこんでいくかを考えました。
土、森、土着的暗さの3点をイメージとして作ることに決定。
和紙作りは、小津和紙の手漉き講習で失敗しながら頑張って作り上げました。
自分のイメージに作るのが大変でした。
講習生がたまたま私一人だったので小津和紙の講師の方も
「和紙に穴を開ける」という変わった申し出にも面白がって教えていただけました。
改装本表紙のダメージ加工革は、タカラ産業さんの表に退色して超格安で売られていた山羊革で、見つけた時はこの上なく幸せを感じました。
遠野物語抄の表紙は、折り紙会館で店員の方に自分の持っているイメージを伝えたところ、ほぼ買う人がいないので店の隅っこに追いやられていた和紙を提示されましたが、それが私にとってはイメージピタリだったので、さすが折り紙会館の種類は豊富と感激いたしました。
構想から作り始めるまで約3か月ほど、この期間は私にとってとても楽しい時間です。

<自己紹介>
本と紙がとても好きです。
家中本が有り書庫の部屋がほしい。
紙も大好きで、旅行では和紙や洋紙を扱っている場所を必ず工程に入れ、気に入った紙を折らずに持ち運ぶためのアジャスタブルケース(紙を入れる筒)を背負って旅に出ます。
製本に行き着いたのは必然だったと感じます。

 

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5 コメント

  1. そらまめ書林

    柳田本を数冊読んでコンセプトを固めていくというところからすごいですが、ダメージ加工も効いていてセンスのよい作品ですね。しかも力作。本文の穴の開いた和紙から奥のページが見えるとこともすごく素敵です。

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  2. ひだい

    「遠野物語抄」の方が、作品としても、使われている素材としてもおもしろい。失礼を承知で言えば、「抄」だけでもよかったのでは。2冊セットでということなら、サイズを揃えるなり、箱に収めるなりして、ひとつの作品であることを示した方がよかったと思います。

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  3. 会場コメント

    表紙のデザインが好きです!

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  4. 会場コメント

    表紙のシックな革装がステキでした。

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  5. 会場コメント

    素材えらびと、作製・発想の自由さにひかれました。
    静かなエネルギーが、すてきです。

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