size:268mm×192mm×19mm 106ページ
<作品の説明>
昭和17年に出版された書籍を選びました。
母と子がともに読めるようにという出版社の企画をもと書かれたもの。
大戦中の社会情勢の中にありながらも、民俗学者らしく、日本各地の小さな人たちの世界に存在する古くからの遊び・伝承・風習の不思議が記されています。
カバーは欠損し紙も焼けて古びていましたが、印刷の文字と初山滋氏の挿絵に惹かれました。
カバー下の表紙タイトル文字が綺麗に残っていたので、その部分を生かすように素材作りを考えました。
挿絵に登場する模様をモチーフに和紙を藍棒と顔料で染め、背表紙はかつてよく使われていたモスリン生地を選び化学染料で染めました。
<エピソード、制作時の事等>
本文の質感と挿絵の雰囲気に合わせ、紙を選択し色調をまとめるのに時間がかかりました。
古い書籍の紙と今の紙を組み合わせ、丁度よいところを見極める作業が難しかったです。
和紙を染めるために様々な色材を試し、最終的に藍棒と顔料を使うことで落ち着きました。
元の装丁が簡素だったので、自身で手を加える部分も単純になるよう努め改装を行いました。
<自己紹介>
紙の装飾と加工に興味があり、手工芸的な製本に興味を持ちまるみず組の扉をたたきました。
亀の歩で取り組んでいます。
昭和初期の子どもが着ていた絣の着物のような柄や色の取り合わせが元の本の時代感によく合っていてとても調和のとれた素敵な作品ですね。
ひと目見ただけで作者の想像がつきました(笑)。相変わらず、うつくしい本を作られますね。新しくなっているのに、時代を経た感じがいい具合に残っていて、大事に読み継ぎたいと思わせてくれる。あと、この本にピンクのケースを合わせたのも秀逸。色に関する頭抜けたセンスに脱帽です。
手作りの紙や色も素敵ですが、何より本が開きやすく読みやすいです。
古い書籍にマッチした表紙とケース、ステキです
装丁が初山滋の挿絵と合っている。
製本もとても丁寧なつくりで、こんな風に作ってみたいと憧れます。