02 改装本 だるま

size:205mm×148mm×35mm 90ページ

<作品の説明>
赤色を活かすモチーフとしてだるまを選び、改装をするために古本を探しました。
だるまを集める人のためのガイドブックとして昭和41年に出版されたものです。
表紙の裏、扉紙、本文の一部にかなりシミがあり、それを補うように整えました。
本文には、全国各地のだるまの姿が白黒で印刷されているので、表紙はだるまの赤色を活かすようにデザインしました。

外函と本体を包んだ布は、赤い無地の着物の古布(綿)です。生地の上にだるまを塗った時の刷毛目や塗りムラの様子を加えるため、布用の顔料と胡粉で着色をしました。
外函の表紙には「福」の文字を刷り、内張りの和紙は折り染めをした上に型紙を使い、だるまの姿を刷り、本文の内容につながるような紙を作りました。

背タイトルは元の表紙から切り出し、地の色が抜けていたので絵の具で着色。表紙のタイトル文字は、スキャナーで本体の文字を取り込みイラストレーターで調整し使いました。

材料:古布(綿)、布用顔料、胡粉、アクリル絵具、マーブリング絵具、OKサンド紙、アラベール紙、和紙、麻糸。

<エピソード、制作時の事等>
古い本は、紙、書体、写真、配置などに味わいがあります。そこが魅力なので、本文の雰囲気に合うように材料を揃え、加工と装飾を行いました。
その中で、赤色の生地を準備するのに最も時間がかかました。
当初は化学染料で染めた布を使う予定でしたが、本文の質感に合った生地が見つからず、本にとって、ちょうど良い古さがある生地は何だろうと探し、赤い無地の古布にたどり着きました。古布を洗ってみると色落ちもなく、繊維の状態も綺麗で生地も柔らかく、包んだ時にすっきりした印象になるので、最終的に古布を使うことで着地しました。

<自己紹介>
布や紙を染めることに興味があります。作った素材を使い、手製本の技法で形にすべくをあれこれ考えています。

https://www.instagram.com/aimik49/


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7 コメント

  1. そらまめ書林

    風合いのあるいい色の布だなと思っていましたが、お話を聞いて、いい風合いに作られたんだと知り、さすが!と感嘆しました。箱の裏側のだるまさんもかわいいし、土台になっている本選びのセンスも良いし、その雰囲気にもよく合った装丁で素敵ですね。

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    • saie

      箱の内側のだるまが他の人にどのように見えるか心配でしたが
      可愛いと感想をもらえて嬉しいです。

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  2. ひだい

    毎度毎度、馬鹿のひとつ覚えみたいなことを書きますが……きれい。
    たんに赤い布を使うのではなく、
    顔料や胡粉を使って風合いを出したというのは、さすがのひと言。
    生地の準備に時間がかかったと書かれていたが、その甲斐があったのでは。
    そういった素材の選び方はもちろん、題材の選び方も好き過ぎる。
    作品作りに密着させてもらいたいくらいです(笑)。

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    • saie

      楽しんで見てもらえて嬉しいです!
      試行錯誤を楽しみつつ
      きれいな本を作る人らの後を追いかけていきます。

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  3. むゆう舎

    だるまのタイトルの翡翠色がキリッとしていて良いです。夫婦箱のだるま模様の紙はご自分で作られたのでしょうか。クロスも雰囲気があって素敵です。

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  4. 会場コメント

    箱を開いた時の印象が、だるまでした。

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  5. 会場コメント

    箱の「福」が良い。中身と装幀が合っている

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