14 実験結果「英単語参考書の復元」とブックアーマー

size:186mm×116mm×27mm 288ページ

<作品の説明>
本に関して「赤」と言われてすぐにイメージしたのは、参考書の暗記用に付いてくる赤い暗記シート。今から45年前の受験生の頃、英単語の暗記が進まなかったほろ苦い記憶と、通学で参考書を幾つも持ち歩くと重いので本文をバラしてホチキスで留めて薄くして鞄に入れていた思い出から、今だったどうするだろう(今は発音もわかる単語暗記アプリを使うのが正解)と考えたのが制作動機です。そこで、当時一世風靡していた「出る単」をバラシて綴じ直し始めて改装デザインを考えたのですが、そこで問題が…。これは、意匠侵害をすることにならないか…という懸念が生じました。そこで、デザイン変更による所謂「改装」をせず、無線綴じから糸綴じにはするものの、デザインは基本的にそのまま復元(栞は1本足しています)することにし、オリジナルカバーの上に、着脱可能な自作のブックアーマーを装着させ、内側に暗記シートを入れられるポケットを付けて、僅かながらですが耐用性と利便性の向上をはかりました。
(意匠侵害はしていないつもりですが、展示可否はお任せします)

<エピソード、制作時の事等>
元のデザインを復元することにしたため、表紙も元の素材ですがビニールなので糊ボンドで接着できるか実験…接着できました。他に気づいたのは、クータが無いこと。これは、ビニールの表紙の背の手前1㎝ほどを接着しないことで本の開き具合を確保している言わば表紙クータ一体構造になっていることも判明。見返しは解体の際に破れざるをえませんが竹尾の見本帳からタント100Kであると判明し調達。表紙と本文の接着は、本文の最初と最後の頁のノド側5~7ミリの部分だけを接着させていましたのでそれを踏襲。花布を付けたいところでしたが、元もと無いのでこれを付けてしまうと印象が変わってしまうため我慢。その代わり栞だけ1本追加しています。

<自己紹介>
製本を始めて気が付くと12年越しくらいですが、進歩はカメの歩みより遅く、きっと蝸牛です。


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3 コメント

  1. ひだい

    実に注意深く作られており、外から見ただけでは綴じ直されているとわからない。
    だが、まさにそれゆえに、コンクールというこの場では損をしていると思った。
    自作のブックアーマーに、市販の本を入れただけとも見えてしまうから。
    作者はそういうのを好まないようですが、
    たまにはその高い技術力を思い切り見せつけてほしいと願ってしまいました。

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  2. 会場コメント

    ブックアーマーというものを初めて見ました。面白いと思いました。

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    • 会場コメント

      改装+ブックアーマーという発想、参考になりました。

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