size:145mm×205mm×75mm 2728ページ
<作品の説明>
①『毛沢東選集』(中国語):1406ページ
②『毛沢東思想勝利万歳』(中国語 毛沢東語録も収録):579ページ
③『毛沢東語録』(日本語):431ページ
④『Quotation from Chairman MAO TSU-TUNG』(英語):312ページ
装丁前:ビニール製ブックカバー型並製
装丁後:総革丸背ソフトカバーつきつけ装
表紙:赤のシュリンク牛革
見返し:北京で購入した文化大革命トランプをコピーし見返しにした
タイトル:ホットペンと星型活字で箔押し
ケース:羊革五星紅旗空押し観音開き掛金錠四方帙 内側はアートレザー
コンクールのテーマが「赤」と聞き、真っ先に「中国共産党」が頭に浮かんだ。30年以上前に北京や日本の語学学校等で手に入れた毛沢東関連の古書を思い出し書棚から取り出すと、ビニールの表紙が変形・変色していた。いずれも文化大革命真っただ中の1960年代の出版で、当時の生活水準を偲ばせる簡素な装丁であった。それらをこの機に「贅沢」な総革に仕立て直すことにした。
4冊とも原本は見返しもなく全体が粗末なものだったので、以前北京軍事博物館で購入した文化大革命トランプから、当時のプロパガンダポスターを見返しにしつらえ、「豪華」な総革装丁に見合うカラフルさを演出した。
最後に、以前ホームセンターで懐かしいと思って衝動買いし、いつか使いたいと思っていた掛金錠を、今回本を収める四方帙の金具にし、上蓋には五星紅旗の空押しをした。
原本から剥がしたあとのビニールの表紙も、60年代当時の「資料」のひとつでもあることから、クリアケースに収め、作品の下に敷くマットにして残した。
(1) “”Mao Zedong Selected Works”” (in Chinese): 1406 pages.
(ii) “”Long Live Mao Zedong’s Thought and Victory”” (in Chinese) (includes Mao Zedong Words): 579 pages
(iii) “”Mao Zedong Words”” (in Japanese): 431 pages
(iv) Quotation from Chairman MAO TSU-TUNG (English): 312 pages
Before: vinyl book cover type
After: leather binding with soft cover
Cover: Red shrink-wrapped cowhide leather
Back cover: Enlarged copy of Cultural Revolution playing cards purchased in Beijing
Title: hot pen and foil stamped with star-shaped type
Case: sheepskin leather with a five-star red flag stamped in the sky, four-way binding with a sound-breaking clasp, art leather inside
When I heard that the theme of the competition was “”Red””, the first thing that came to mind was the Chinese Communist Party (CCP), and I remembered old books on Mao Zedong that I had acquired more than 30 years ago at language schools in Beijing and Japan, and took them off the shelf to find that the plastic covers were deformed and discoloured. They were all published in the 1960s, at the height of the Cultural Revolution, and had simple bindings that reminded me of the standard of living at the time. We decided to take this opportunity to re-tailor them into a ‘luxurious’ total leather.
As the originals of all four books had no backsides and were generally poor, I enlarged a propaganda poster from the Cultural Revolution playing cards I had bought at the Beijing Military Museum and attached it to the backside, creating a colourful look to match the ‘luxurious’ all-leather binding.
Lastly, A hanging lock that I had found in a hardware store, felt nostalgic about, bought and hoped to one day use, was this time used as a fitting for the lid of the case that holds the books, with a blank stamp of the Five Star Red Flag on the top lid.
The vinyl cover, which had been removed from the original, was also one of the ‘Historical witness’ from the 1960s, so I put it in a clear case and left it as a mat to put under the work.
<エピソード、制作時の事等>
1400ページ以上ある『毛沢東選集』の丸見出しに苦労した。ケースは扉をイメージした観音開きにしたかったので、どのような形式がいいか悩んだ。掛金錠を四方帙に設置する際に、付属のねじの長さがボールの厚み以上あり、突き抜けないようにネジ先を切断するのに苦労した。
I struggled with the round headings for the over 1,400 pages of The Selected Works of Mao Zedong. We wanted the case to be a double-glazed case, which is reminiscent of a door, so we wondered what format would be best. When installing the latch lock on the four binders, the length of the attached screws was more than the thickness of the cardboard, and it was difficult to cut the screw ends so that they would not pierce through.
<自己紹介>
古書店巡りで気に入った古本を購入しているうちに、傷んだ本を自分で修理したくなり製本の勉強を始めました。これまで会社員として「士農工商」の「商」の人生の中、製本を通じて「工」の面白さに目覚めました。自分好みのデザインや形に修理して愛蔵書に変身させるわくわく感を楽しむ一方、1ミリの違いで仕上がりが大きく変わる「工」の世界で、日々自分の仕事に対する向合い方と重ね合わせながら反省しつつ自己鍛錬しています。
テーマの赤が際立っているから。丁寧につくられているのが分かります。
まず、この赤の色がとってもいいです。好きな赤です。また、タイトルの付け方がいいですね。奥深い感じがします。
赤と黒でシャープな印象。周辺を彩る素材にも書籍と関連するものを使用して、凝った作りに仕上がっている。檻のように見える装丁が時代を表しているような。
色が鮮明 繊細な作り
思想としての「赤」、誰かはやると思っていたが、こんな形で来るとは。
とにかくボリュームがすごい。
しかも総革丸背なんて、
わたしなら1冊製本しただけで、もういいことにしていたと思う……。
そして箱がまた格好いい。
箱だけで、歴史というか、物語というかが伝わってくる。
考えられたことがきちんと形になっている、見ていてとても気持ちのいい作品だと思います。
辛口コメントのひだいさんから、今回身に余る最高のコメントをいただき、なによりも嬉しいです。写真からは見えない部分(箱の右半分の部分、五星紅旗の空押し、プロパガンダポスターの見返し)は、コンクール会場にお越しいただいた方だけが覗きみられる結果となりました。
色から国の在り方を連想した作品というところに惹かれました。手にとってじっくりと拝見したいです。
文化大革命の指導者、毛沢東の書籍を赤と箔で豪華に製本したところに、作者のユーモアを感じました。タイトル、掛金錠などほかにも作者の意図を読み解くのが面白そうです。
テーマが興味深いです。
色の組み合わせが素敵です。
赤と黒のみを使うことによって、
テーマである赤が際立っています。
物でも言葉でもない「赤」をモチーフにしたのが面白い。別次元の発想。
毛沢東語録を題材にしたのが面白いと思いました。
小时候在书店曾见过各种版本的,这样做为一个热爱中国文化并精通汉语的日本人,能把毛选装帧得如此独特和新颖,非常感动。
たしかに世界で一番赤い本。
カッコいい!!!
かぎがかかっているところです。
赤と黒でシャープな印象。牢獄に入っているように見えるけど…。
錠と鉄格子がついた革製の四方帙に、本の見返しはプロパガンダポスターと凄みがあります。
この“赤“を選んでくるとは… 万歳
(1) 《毛泽东选集》(中文):1406 页
(ii) 《毛泽东思想胜利万岁》(中文)(还包括毛泽东演讲集):579 页
(iii) 《毛泽东语录》(日文):431 页
(iv) 《毛泽东主席语录》(英文):312 页
装订前:软皮封面,乙烯基封面
装订后:全皮书脊,软封面
新封面:红色收缩包装全牛皮
封底:在北京购买的文革扑克牌复制品
书名:烫金钢笔星型字
书架:印有五星红旗的黑色羊皮,四向装订,带双开扣和锁,内侧用人造革装订
古本を大変身 本当に素晴らしい
いろいろと変わった趣味を持って、うらやましいです。毛沢東主席の本を装丁するというのも作者らしいですね。確かに懐かしい蝶番ですが、これを書籍に使うというアイデアは斬新だと思いました。これからの活躍を祈ります。
大変だったのではと思いました。
赤の革装丁に金字がとても映えて素敵💕
ちょうつがいを使った革の箱がとても良い。
タイトルが、いろんな意味がこもってる感じがして深いですね。
掛金錠を用いた扉の形がとてもかわいらしくて⚪︎