010 西会津へ紙漉に

size:175mm×130mm×5mm 16ページ

<作品の説明>
昨年3月に福島県西会津町で4泊5日で体験した紙漉きの記録を、その時に漉いた和紙を用いて制作しました。
表紙には、制作の過程でよけられる楮の皮を漉き込んだ和紙を使用しています。
この紙がうまれた時間(制作過程)や場所、記憶などーー手に取ったときに紙の故郷を思うようにしたいとこの形にしました。

わたしが制作を行った出ケ原紙は、昭和30年代まで西会津町出ケ原地区を中心に作られていた和紙です。
災害等により生産が途絶えていましたが美術家の滝澤徹也さんと地元有志の方がその技術を復活させており、
アーティストの制作や地域の産業とのコラボレーション、PR等に広がっているところです。

紙の制作は、山から自生の楮(コウゾ)の刈り取りから、蒸し剥ぎ、すべ取り(皮むき)、煮熟、ちりより、手打ち叩解、紙漉き、板干しなどの多くの工程を、伝統的な方法ですべて手作業で行っています。
わたしも体験では同様の作業をさせていただきました。

制作を行った西会津町は新潟に近い福島県に位置する山の中のまちです。
わたしは千葉県千葉市の生まれで、祖母と同居し親戚も近隣に住んでいたことから、
「田舎にあるおばあちゃんの家にいく」というのにすこし憧れを持っていました。
数年前に初めて訪れた際に、その風景や空気にすっかり魅了されたびたび訪れるようになりました。

紙の故郷を訪ねるように、また西会津へ旅をしに、また紙漉き制作のために再訪をしたいと考えています。

<エピソード、制作時の事等>
自分で制作した和紙の手触りや質感をどう活かすか考えながらデザインをしました。
制作できるものの幅がまだ狭い中、試行錯誤しながら制作をしました。
制作中の部屋は紙の匂いでいっぱいになり、この紙の故郷である西会津の町に思いを馳せました。

<自己紹介>
業界新聞の編集の仕事をしながら、消しゴム版画を中心にしたアーティスト活動、講師業などをしています。
地域とかかわるお仕事の依頼が多く、おもな仕事に東急池上線「行けばアガる池上線」キャンペーン、スタンプラリーはんこ制作(2019年)、大田観光協会「れとろスタンプラリィ」スタンプ制作(2022年)などがあります。

消しゴム版画を始めたきっかけは「刷ったものが好きだから」。
そこからどんどん広がって、行き着いたのが手製本。
植村先生の本の修理と製本講座の受講をきっかけに、さらに知識や技術を深めようとこの春から月1基礎クラスにお世話になっています。
毎回の学びが楽しすぎる!どんどん深みにはまっています。

 https://x.com/37sanako
 https://www.instagram.com/37sanako/


スキル

投稿日

2 コメント

  1. とうま

    手書きの文字やイラストの雰囲気がとても好みでした。もっとよく読みたかったです。
    福島出身ですが西会津は行ったことがなく、和紙のことも知らなかったので興味が湧きました!

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  2. 会場コメント

    紙漉きの工程と紙の作品自身が本になっている。

    返信する

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