size:170mm×110mm×40mm 752ページ
<作品の説明>
角背ドイツ装上製本 フチなし夫婦函入り ジェッソのモデリング染めクロス使用
大正八年六月十日大倉書店発行『吾輩ハ猫デアル』夏目漱石著の改装本
雑誌『ホトトギス』で連載していた当該小説の上・中・下を明治四十四年に大倉書店が一冊の単行本として発行した第五十七版
“”Bradel Allemand”” hard binding design with square back in gesso modeling dyed cloth box .
A refurbished copy of “”I am a Cat”” by Soseki Natsume, published by Okura Shoten on June 10, 1918.This is the 57th edition of the first, middle, and second parts of the novel, which was serialized in Magazine Hototogisu and published as a single volume by Okura Shoten in 1907.
<エピソード、制作時の事等>
夏目漱石(本名 夏目金之助)の代表作『吾輩ハ猫デアル』を改装した。
購入時はボロボロで背表紙が欠落しており、米糊のような接着剤が直接折り帖に塗られ本文はふたつに割れていた。
表紙のいたずらっぽい金色の猫を本ごと檻に閉じ込め、開いた窓から今にも飛び出して来そうな感じを表現したくてフチなし夫婦函に自己流でチャレンジした。
壁の雰囲気を出すため以前1日文化教室で制作したモデリング染めクロスを函の外面に使用。
函を開けると大正ロマン風の赤いクロスが目に飛び込んでくる。
I refurbished a copy of “”I am a Cat””, a masterpiece by Soseki Natsume (real name: Kin-nosuke Natsume ). When I purchased the book, it was in shabby condition, the spine was missing, and a glue like rice paste was applied directly to the spine of the text, and the folded pages were split in two. I wanted to express the scene that the mischievous golden cat on the cover was locked up in a cage and was about to jump out of the open window. For the cloth of the box, so as to create the atmosphere of the wall I used modeling dye that I had made in a one-day culture class. When you open the cage box, the Taisho-roman-style red cloth jumps into your eyes.
<自己紹介>
古書店巡りをして気に入った古本を購入しているうちに、傷んだ古書を自分で修理したくなり製本の勉強を始めました。
それまでずっと会社員として「士農工商」の「商」の人生だったので、製本を通じて「工」の面白さに目覚めました。
自分好みのデザインや形に修理して愛蔵書に変身させるわくわく感を楽しんでいる一方、1ミリの違いで仕上がりが大きく違ってくる「工」の世界で、日々自分の仕事に対する向き合い方と重ね合わせながら反省しつつ自己鍛錬しています。
I started studying bookbinding because I wanted to repair my own books while visiting old bookstores. I have been working as a company employee for a long time, and I have been living as a “”Merchant”” among categorized the Japanese four social classes of Warriors, Farmers, Craftsmen and Merchants. On the other hand, in the world of bookbinding, where even a millimeter of difference can make a big difference in the finished product, I reflect on my own approach to my work every day as a “Craftsman” and train myself through bookbinding.
檻が直線ではなく、猫のようにしなやかな曲線となっていて、遊び心と細やかさを感じられます。
函の中では、猫が抜け出して重厚な絨毯の上を音を立てずに、堂々と歩みを進めているように感じました。
見事な作りの函。外と中の色や質感の違いが想像をかき立てます。
大正時代の装丁の素晴らしさに驚きますが、その雰囲気を損ねることなく丁寧に背表紙を修復。
これからも時代を越えて読み継がれていくのが素敵です。
お魚のクロスは製作者さんの茶目っ気を感じました。
ネコを檻に閉じ込めたような夫婦函のデザインが素晴らしい。
手に取って開きたくなる。
モデリング染めクロスはたしかに壁のようでぴったりだし、
内側の赤いクロスも雰囲気が出ている。
函自体がよくできているのは言わずもがな。
それと比べると本の方は、
ふつうのクロス、ふつうの花布なのがやや残念。
もうひと工夫がぜひ欲しかった。
本自体は修理と次の時代への継承保存を主たる目的とし、壊れた部分にだけ手を加え原形保全のために仕立て直しましたので、製本のデザイン自体に対して人の目を引くものや奇をてらうものは当初から考慮しておりません。
夫婦箱の外側はとてもシックで
それとは対照的に内側が可愛いくて
とても素敵です
表紙の金猫ちゃんを檻に閉じ込めたデザインやオリジナルのクロスが、古書を生かしつつ、アートな感じに仕上がっていてすごいと思いました。檻にも少しデザインが入っているところも印象的です。100年以上前の本がこのように生まれ変わるなんてステキですね。BEFORE/AFTERも見てみたいです。
白壁に真鍮の格子。そこから覗く猫。古書の雰囲気はそのままに、新鮮な息遣いも感じられる。
完成のお祝いに、猫の大好物「鯛の尾頭付き」を準備したのでしょうか。素敵です。
古書を改装本に美しく仕立てていると思いました。
製作者が書いてらっしゃるとおり檻のスキマから飛び出して来そうな猫がステキです。飾っておきたい一冊です。
古本を丁寧に扱い、紙、雰囲気が気に入りました。
クラシックな雰囲気が大変カッコ良かったです。ジェッソの質感が好みでした。
表紙の猫を活かしたデザインがとても素敵です!今にも猫が檻から飛び出てきそうな気がします。色遣いもごちゃごちゃしておらず、シンプルなところが逆に本の重厚さを際立てていると思いました。金がテーマということで夏目金之助さんの本を選ばれたのもお洒落!お家に飾っておきたくなります。