19 売色鴨南蛮

size:203mm×209mm×25mm 50ページ

<作品の説明>
「売色鴨南蛮」泉鏡花 私家版

使用材料>>ポルカ メレンゲ90kg  群雲こうぞ 未晒 自作ペーストペーバー その他和紙 着物古布 その他製本用クロス

美しい日本語使いの文豪、泉鏡花の短編を着物地や和紙を使って和綴じ本に仕立てました。「売色鴨南蛮」は溝口健二の映画「折鶴お千」の原作としても知られた作品です。コンクールテーマを補完すべく中島敦の鏡花を称賛するエッセイも収録。中島先生曰く「日本人に生れながら、あるいは日本語を解しながら、鏡花の作品を読まないのは、折角の日本人たる特権を抛棄しているようなものだ。」とのこと。

挿絵は明治時代の図案集「新美術海」から。リスペクトを込めて、四方帙の底蓋に鏡花が師の尾崎紅葉に因んで家紋にしていた源氏香の紅葉賀を貼付しました。

<エピソード、制作時の事等>
1.和綴じであること
2.開きやすいこと
3.表紙は着物の柄が映えていること
4.四方帙入り

制作にあたり、以上の4点をクリアすることを念頭に作業を進めました。
和綴じの開きにくさを解消する為に、本文をノドパーツに綴じ付けました。
作品イメージに合うような着物の古布をアチコチ探しているうち、すっかり古布の魅力にハマってしまいました。今後も美しい古布を利用して、自分なりの鏡花本を増やしていくつもりです。
ただ、古い着物地を裏打ちするとき、濡れた生地からものすごい異臭が放たれるのには参りました。乾燥後は匂いは薄らいだと思いますが、単に自分の鼻が慣れたせいかもしれず、ちょっと心配です。

<自己紹介>
応用三年生になりました。普段は金融会社で働いています。自分の写真集が作れたらとはじめた手製本ですが、製本にまつわる諸々の事が面白すぎて、自分の作品など二の次になっております。いつか手製本の私家版で一箱市をやるのが夢です。

https://twitter.com/mw_bunsitsu
https://www.instagram.com/monosworks


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6 コメント

  1. 会場コメント

    選んだ紙が素敵です。しおりに折り鶴,,,いいなあ

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  2. そらまめ書林

    何と言っても表紙の布が素敵ですが、それを活かす背のデザイン、タイトルの書体や題簽の色味もバランスよくてよいですね。見返しや本文に貼りこまれた布も素敵です。和本特有の開きにくさを解消するための構造的な工夫をされているところも素晴らしいと思いました。

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  3. 会場コメント

    鮮やかな表紙がとても目を引きました。

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  4. 会場コメント

    表紙と中の和紙や古布がとてもすばらしく、こんな本を作ってみたいと思いました。

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  5. ひだい

    表紙がとても素敵です。
    柄がいいし、配置も美しい。
    大胆なかがりや背からちらりと見える模様も粋な感じ。
    それらからすると、
    折鶴のしおり(?)は頼りないというか、蛇足っぽいというか……。
    もっと主張が強いくらいのほうが合う気がしました。

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  6. ああ

    和綴じの姿と、布や紙の組み合わせが美しいです。

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