size:235mm×183mm×28mm 162ページ
<作品の説明>
日本語は、世界でも数少ない「縦組み」「横組み」の両方が可能な言語だそうです。
その特性を活かして、左右両方から読める構成にしました。
本編の「墨東綺譚」は縦組み、あとがきのエッセイ「作者贅言」は横組み、さらに劇中劇ともいえる小説や短歌、漢詩等を異なる組み方で配置しています。
荷風は本作の舞台である玉ノ井を「ラビラント(迷宮)」と呼びましたが、ぜひページをめくりながら一緒に迷宮に迷い込んでください。
【本体】
表紙:和紙
見返し:羊皮紙 べに160kg
本文:淡クリーム書籍67.5kg
別丁:マーメイド 白ねず110kg
【外箱】
外側:本革、合皮
内側:羊皮紙 べに160kg、レザック66 黒175kg
<エピソード、制作時の事等>
最近引っ越しをしたのですが、転居先の近くに永井荷風終焉の地があり、彼の美しい文章と小説の舞台となった東京下町の風景とのギャップに興味を持ったので、今回の題材に選びました。
制作前に実際に舞台となった玉ノ井を歩き、当時と同じように路地裏の迷宮に迷い込む感覚を体験しました。
表紙は、当時の玉ノ井に掲げられていた看板を元にデザインしました。装丁はフランス留学経験がある荷風にちなんで「フランス装」にしています。
外箱は、作中の二人が夫婦になることなく離別したことにちなんで「夫婦箱」、外箱は荷風が全財産を入れて常に持ち歩いていたボストンバッグをモデルにしました。
別丁の写真は、荷風が愛用していたのと同型の二眼レフカメラを使って現在の玉ノ井を撮影したものです。
<自己紹介>
最近は外出する機会が減ってしまいましたが、たまに変な本を作っています。
https://www.instagram.com/ootaharuko
大胆に外装を、黒い鞄のみで構成したことに驚く。
手持ち鞄は、中に物を入れ運ぶ用途の道具だが、そこに、読書の第一行為である【開く】ことを加えているところで、既に荷風の世界へ誘われている。
書籍内部の文字組みも、コンセプトが面白い。
日本語ならではの特性を繊細に構成し直している。
大胆さと繊細さが混在した装丁作品だと感じた。
ハンドバックみたい。
タブレットケースにもなりそうで今時な感じですね♡
日本語の「組み」に着目した点、作品の内容を装丁に正確に反映している点がいい
アイデアも作品のつくりもとても見ごたえ、工夫、おもしろさが満載でした!自分の出身が玉ノ井のちかくなのでそれも嬉しい。
造形の発想と内容がとても良くかみあっている。
縦書きと横書きを両方のせるアイデアと、夫婦箱や装幀のこだわりが好きです。
左右両方から見える作品が面白い。デザインのこだわりが凄い。
「かばんに本が入っているのは当たり前」という感じのケースがたまらなく素敵でした。
縦組みと横組みで両側から読める1冊は面白い試み。函も含めて永井荷風にまつわるあれこれを装丁に盛り込まれていて楽しみながらデザインされている様子が伝わりました
鞄を観た時にパーッとあれだ!と絵が浮かびました。撮影した現在の玉の井のものを入れるなど外も中身も凝った作りだと思いました。
おもしろい
様々なこだわりで
永井荷風を製本で表現されていて
すごく素敵でカッコイイです。
外箱がボストンバッグなのが粋ですね。
荷風にまつわる事柄がぎゅっと詰まっていて、手製本の面白さを感じます。鞄に本をしまう仕掛けが粋です。
「離別したことにちなんで」夫婦箱というのがよくわかりません。
「夫婦箱っぽいけど実は合わない」なら納得できるのですが。
(箱としての機能はまた別に考えるとして)
「縦組み」「横組み」ができるという着眼点はよかったものの、
横書き2段組は読みにくい……。
総じて理念が先走ってしまった感じがしました。
技術があるのが伝わってくるだけにもったいないです。