size:268mm×198mm×62mm 10ページ
<作品の説明>
歌舞伎の姫役は、赤地の衣裳(緋綸子、緋縮緬に金銀糸で模様を縫取りした裲襠)を着付けることから、赤姫と呼ばれている。その中でも代表的な難役、『本朝廿四孝』八重垣姫、『鎌倉三代記』時姫、『祇園祭礼信仰記』雪姫を三姫という。そのうちの『本朝廿四孝』「十種香」、「狐火」の段の八重垣姫の錦絵5牧を一枚ものの綴じで仕立てた。
錦絵は国会図書館デジタルコレクション保護期間満了のもの、ウキペディア・コモンズ経由で、パブリックドメインのものをダウンロードし、使用。
本体台紙には、重さの軽減と柔らかさを出すため、藁入り和紙と糸入り和紙でくるんだダンボールとボール紙を貼り合わせた。その他、染め和紙、大礼紙、砂子入り和紙、透かし和紙等々、和紙を多用。函は裏打ち布を使用。
<エピソード、制作時の事等>
赤、赤、赤ときっかけを見つけるために、国会図書館デジタルコレクションを眺めていたところ、歌舞伎の八重垣姫を描いた『五衣色染分 赤』という錦絵に目が止まりました。そこから赤姫、三姫、本朝廿四孝について調べ、今回の作品に繋がりました。
革でモザイクをはめ込む表紙に挑戦しましたが、うまく扱えず、また錦絵とも合わず、断念。革の扱いは来年の課題になりそうです。本体は手持ちの和紙を組み合わせて作成。表紙の題箋をアーチ型にして、立体的に見せるようにしました。函の折りたたみの表紙の窓からも本体の題箋が見えるようにしました。
今回は全体に中途半端、詰めの甘い作品になってしまいました。元来が雑な上に、最近は老眼鏡のせいか、真っ直ぐであるべきところが歪んでいたり、きっちりと収まらなかったりしています。
<自己紹介>
この一年はますますレッスンに行けなくなっているほぼ幽霊です。気持ちだけは製本の方を向いていますが、実が伴いません。細々、職場の本の修理をしています。
しっかりした作りで仕立ても丁寧。
ページがフレームのようになっているので、開いて飾っておきたくなるような本。
落ち着いた色味のなかで赤がよく映えている。
折り畳める箱という発想は斬新だが、一体、なんのためだったのか……。
本が凝っているぶん、ただ題箋が見えるようにするだけで充分だったのでは。
革のモザイク、この作品には合わなかったでしょうから、断念して正解だと思います。
表紙のタイトルをはじめ、和紙がふんだんに使われていて豪華。一枚絵を見せる感じがとても良いと思いました。
とてもしっかりした作りで錦絵の印刷も素敵でした。