size:165mm×130mm×20mm 80ページ
<作品の説明>
赤というテーマでどうしようか考えていた時に。信州経木がアカマツで作られている事を知って材料に使おうと考えました。
アカマツは先駆種(パイオニアプランツ)の一種で森林や土地が荒廃した際に真っ先にその土地に根付きます。
植物の生存戦略の一つですが、そういう所が好きな樹種です。
作品名はアカマツの学名Pinus densiflora としました。
<エピソード、制作時の事等>
木材なのでとにかく反る、折ると裂ける等厄介な材料で特に端部の処理が難しい。
この作品でも本文が反ってしまっていますが、出来るだけ出来るだけ反りを無くす為にページ毎に経木の向きを変えたりして工夫しています。
単純に経木だけで曲げてしまうと裂けてしまいます。ですので、和紙で裏打ちをして強度を高めています。
色彩には水性漆を使いました。赤・朱・鎌倉赤・弁柄の四色を使って経木にデザインを変えて何度も試し塗りをしたのですが、材質上木の繊維に染み出してしまう事も多く、もうこうなったら絵心は無いけれど手書きで松葉の踊っている様を表現する事にしました。
背の部分も本当は経木を使いたかったのですが、角背の場合は溝の部分がどうしても割れたり裂けたりしてしまい、丸背にするには材料の幅が足りず断念せざるをえませんでした。
今回は布を使った表現になりました。
布の模様は「混沌の中の希望」を表しています。
花布は今回初めての挑戦で、まだまだ下手くそですがどうかご容赦を。
毎回コンクールでは新しい事へ挑戦させてもらっていますが、今回は特に難しい材料を選んでしまった事もあり、楽しくも厳しい戦いでした。
<自己紹介>
パッセを習っています
木をかがるという発想に驚く。
扱いはやはり難しかったようだが、
向きを変える、裏打ちをするなどの工夫の甲斐あって、
本として手に取ったときに危うさをまったく感じなかった。
こういう作品を見ると、手製本の可能性が感じられて嬉しい。
コンクールの醍醐味と言ってもいいかもしれない。
背はもう少し主張を控えたほうが、平や本文がより引き立ったのではと思います。
アカマツを使っているそのアイディアが素敵だと思いました。
アカマツの木を使った作品、そりを考えることすばらしい
紙から少しはずれた視点がよかった