size:210mm×150mm×95mm 564ページ
<作品の説明>自分の好きな『平家物語』を、今と違って和紙で本を作っていた時代の本に似せて作ろうと思いました。
レイアウトはMicrosoftWordで制作。フリーフォント「衡山毛筆フォント草書」を使用。/本文紙:和紙コピー「大王」(A4)/印刷:Canonのレーザープリンタ/表紙素材:「和紙かわ澄」の友禅和紙
<エピソード、制作時の事等>(会場のキャプションよりもう少し長く書きます。)
『平家物語』が好きです。その『平家物語』は、現在、多くの出版社から出されているけれど、大抵は上下巻の2分冊です。しかし、おそらく、印刷技術も機械製本もなかった昔の日本人は、本文の巻立てにしたがって13分冊の手製本の『平家物語』を読んでいたはずで、それを形にしたら面白いだろうな、というのは以前から思っていました。今回「和紙」というテーマを目にして、このすべて和紙を使って本を作っていた時代に近づけた『平家物語』を作ろうと決めました。
「印刷技術もなかった昔の」と言う以上は、本文もすべて手書きにすべきでしょうが、それは自分の技術では到底無理で、こればかりは明朝体の活字にするしかないな、とあきらめていたのですが、ネットで「衡山毛筆フォント草書」という、手書き風の草書体のフォントがフリー(!)で手に入りました。おかげで、プリンタを使うとはいえ、より手作りの雰囲気を出せたと思います。フォントを作り、しかも無料で公開してくれている「衡山毛筆フォント」の制作者に感謝したいです。
本文は、多くの日本の古典文学をネットで公開している「ヴァージニア大学・テキストイニシアチブ」のテキストを元に少し編集しました。
また、そもそも普通のプリンタで和紙に印刷できるのか不安だったのですが、これも、「プリンタで印刷できる和紙」というのがいろいろあるんですね(しかもまぁまぁ安い)。こちらも和紙のメーカーさんに感謝です。
反省点としては、まず、カドギレの付け方が未熟ということでしょうか。技術も未熟ですし、素材の選定を間違えたと思います。あと、「昔の本」というコンセプトからすると、本文の字が小さすぎたかもしれない。テキストの分量が多いので、字をほんの少し大きくしただけで必要な紙の枚数が大量に増えてしまいます。しかし、出費を恐れずもう少し大きな字にすればよかったと思います。
……といろいろ反省はありますが、ともあれ13点もの作品を一気に作るのは初めての経験だったので、とりあえず今は完成してホッとしています。
<自己紹介>2016年の秋からまるみず組でお世話になっています。今回で3回目の出品です(2017年は「十の話」、2018年は「イタリア民話集」を出品しました)。当初はこんなに長く続くと思っていなかったので自分でも不思議な感じです。しかも、今年からはパッセカルトンを習い始めたので、まだまだ手製本とのかかわりは続きそうです。まだ納得のいく作品はなかなか難しいですが、のんびり行こうと思います。よろしくお願いします。
大作ですね。
それだけに裸で置かれてしまっているのが残念。
ぜひ箱を作るべきでした。
すでに書かれている通り、角布の素材にも問題があります。
厚いクロスを使ったために背の方がやけに高くなってしまったのでは?
文字サイズも、たしかにもう少し大きい方がよかったでしょうね。
そうでなくとも読みなれない草書体のフォントなので、
この小ささだと読もうという気が起きるかどうか……。
こうした問題点はありますが、
巻立てに従った分冊や手書き風のフォントなど、
作者なりの目標があり、それを形にしたことには惜しみない拍手を送ります。
古典を勉強しつつ、このような本を私なりに作れたらと思いました。
こうしてお気に入りの本を和綴じにするの、いいですね。
情熱が伝わります。
全13点きれいに出来ていた。564ページの努力に感動!