62 七羽のカラス

size:237mm×254mm×26mm 46ページ

<作品の説明>
英文絵本の“The Seven Ravens”by The Brothers Grimm. (Original title: Die sieben Raben)、 Illustrated by Lisbeth Zwerger , Translated by Elizabeth D. Crawford、Published in U.K. by Picture Book Studio,1981. に、日本語訳を綴じ込んでドイツ装に改装したものです。
【材料】表紙はオリジナル表紙を再生利用し、背にはメルシーホット極薄で裏打ちした綿ブロード布を使用。 本文は拙訳を家庭用インクジェットプリンターでOHP用紙に印刷してオリジナル本文の間にとじ込んだ。厚みを出したくないので足にはスパイダーを使った。スパイダーとOHP用紙の接着がむつかしく、試行の末用紙の端にヤスリをかけてボンドで接着した。とじ糸はテトロンボタンつけ糸#20/3使用した。ギャルドブランシュはNTラシャグレー100kg、見返しにはビルカラ―黒115kgを合わせた。夫婦箱の外装はメルシーホット中肉で裏打ちした綿ブロード布を、内側には同じく裏打ちした綿麻布を使用した。エンボス内のタイトルは布地の風合いを出したいのでタントセレクトTS-1/N- 7/100kgに印刷して上記NTラシャグレーを台紙にして貼りこんだ。

<エピソード、制作時の事等>
古書店の隅で埃まみれの絵本を一目見たその時から、「これを『日本語』に訳したい」と思い、改装本作成に決めました。実現可能かは別として、「オリジナルを生かして改装は最小限にしたい」「主人公の少女のまっすぐで潔い心を、訳文や本の形に生かしたい」「外出を控えて自宅でできる方法を選ぶ」を、目標にしてスタートしました。
独力での制作は初めてで翻訳も印刷も経験が皆無なので、訳文作成、印刷用紙やフォント選択、本文へのとじ込み方法の試行と変更に時間がとてもかかりました。初めての竹尾ではスタッフの方々の優しく的確なアドバイスに感激しました。まるみず組でも質問OKでしたが何を尋ねてよいのかも分からず、自宅で試作と失敗を繰り返しました。一番の後悔は、ほかの工程はすべて試作したのに何故かビルカラ―の接着だけ試作し忘れて伸びてはみ出してしまい、慌てて切り取ることになりました。それが表紙のそりの原因です。いろいろありましたが、オリジナルの挿絵の美しさと毅然とした文章に導かれて最後まで頑張れました。
一番楽しかったのは、構造を考えたり、布・紙選びする時間でした。今でも、もっと他に良い方法があったのではと考えています。いろいろ課題はあるものの期限内に夫婦箱まで完成できたのでとても嬉しいです。次回も応募できるといいな。

<自己紹介>
布、紙、読書、旅が大好きです。3年ほど前にWSで本づくりの楽しさを知り、昨年からまるみず組で教わり始めました。物づくりに楽しく集中することで、コロナ下の不安な気持ちと閉塞感を切り替えることができました。初めてのコンクール参加なので、ワクワクドキドキです。今後、基礎コースに参加しようかしら、ついていけるのかしらと思案中です。


スキル

投稿日

3 コメント

  1. 高橋 英世

    ご自身の訳をOHPシートに載せるのはとてもいいアイデアだと思いました。
    原作の雰囲気を壊さず、余計なことを最小限に抑えていて美しい仕上がりになっていると思いました。

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  2. そらまめ書林

    箱が上品できれいですし、中の本にもよく合ってますね。ご自分で翻訳された日本語を透明フィルムにプリントして挟み込むアイデア素敵!試行錯誤も楽しまれているご様子が制作時のエピソードから伝わってきました。

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  3. 会場コメント

    美しいと思いました

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